樹脂(プラスチック)加工のタップ加工｜抜けないネジ穴を作るためのポイントと注意点！

2025年3月18日 最終更新日時 : 2025年3月17日 滝本技研工業株式会社
プラスチック・樹脂加工タップ加工

樹脂(プラスチック)加工におけるタップ加工とは？

樹脂(プラスチック)加工のタップ加工は、樹脂材料にネジ穴を形成するための工程です。

金属加工とは異なる樹脂の特性に合わせた加工方法が必要で、しっかりしたネジ穴を作るためには適切な工具選定と加工方法が重要！

樹脂は柔らかく、摩擦熱に弱いため、精度を保つためには慎重な工程管理が重要…！

樹脂特有のタップ加工の難しさ

樹脂は金属とは異なる物理的性質を持っており、これがタップ加工の難しさにつながります。

例えば樹脂は柔軟性が高く、金属と比べて変形しやすいです。また、特に熱に弱く、摩擦熱による変形や膨張が発生することがあります。これがタップ加工中にネジ穴の精度を損ない、タップがスムーズに入らなかったり、加工後のネジの抜けやすさにつながる…

そして樹脂は切削抵抗が低いため、タップがスムーズに入る反面、切りくずが絡まりやすく、ネジ山を崩してしまうこともあります。このため、適切な加工条件を設定しないと、仕上がりが悪くなってしまうリスクが高い…！

金属加工と樹脂加工の違い

樹脂加工と金属加工は見た目こそ似ているものの、使う材料が異なることでプロセス自体が大きく異なります！

金属は硬さと剛性を持っており、タップ加工においてもその強度を活かして一定の加工条件を設定できますが、樹脂はそれほどの強度がないため、切削工具の選定や加工スピード、圧力などの細やかな調整が必要となります。

また、樹脂には多くの種類があり、それぞれの物性に応じて異なるアプローチが必要…！

たとえば、ABSやポリカーボネートは比較的加工しやすい一方、ポリプロピレンやナイロンなどは滑りやすいため、タップが入りにくく、工夫が必要です。こうした特性を理解することで、効率的かつ高品質なタップ加工が可能となります！

スムーズに入るネジ穴を作るためのタップ加工ポイント

ネジ穴がスムーズにタップに沿って作られるかどうかは、加工時のいくつかの重要なポイントに依存します。ここでは、樹脂の特性に合わせた加工の工夫や選定方法について詳しく見ていきます。

刃先の選定が重要な理由

加工中にタップが折れた…

という最悪な事態を起こさないためにも…切削タップで何を使用するかが重要！

樹脂は柔らかいため、通常の金属用タップではなく、樹脂専用のタップ工具を選ぶことが重要で、樹脂用タップは切りくずの排出性を高めるために特別な形状が施されていることが多く、スムーズな切削が可能となっています！

また、タップを適切に選定することで、樹脂の変形を防ぎ、均一なネジ山を作り出すことができる！

切削タップの種類について詳しく知りたい方はこちらの動画をご覧ください！

https://youtu.be/wdKA6lH-Umw

繰り返し使っても抜けないネジ穴を作るためのコツ

樹脂加工では、ネジを何度も使う場合でも抜けないしっかりしたネジ穴を作ることが求められます。そのためには、加工後の工程や補強の対策が重要！

タップ加工後の仕上げ工程

ネジ穴の仕上げは、タップ加工が完了した後に重要なプロセスです。加工後にネジ穴内に残った切りくずやバリを取り除き、清潔でスムーズなネジ穴に仕上げることが求められます。

樹脂特有の柔らかさを活かしながら、ネジ山を潰さないように丁寧に仕上げることが、長期間にわたって強度を保つコツです！

滝本技研工業では、樹脂の特性に合わせた最適なタップ加工を行い、長期間使用できるストレスゼロのネジ穴を制作いたします！

樹脂の種類に合わせた対策

使用する樹脂の種類に応じて、タップ加工の方法も調整が必要です！樹脂の特性をしっかりと理解し、それに合った加工方法を取ることで、最適なネジ穴を形成できます。

スクロールできます
樹脂の種類加工のしやすさ注意点冷却
ABS樹脂割れやすい切りくずの排出性を高める工具を使用し、過度な力を避ける圧縮空気が推奨。冷却剤も使用可能
ポリアセタール (POM)滑りやすいネジ山が崩れるリスクがあるため浅めのネジ山を形成し、圧力を控えめに調整圧縮空気や水冷が推奨
ポリカーボネート (PC)熱に弱い加工速度を抑え、ゆっくりタップを進行させる冷却剤の使用が推奨
ナイロン (PA)柔軟、吸湿性が高いドライ加工が推奨冷却剤は避ける、圧縮空気を使用
ポリプロピレン (PP)軟質、滑りやすい浅めのタップを使用し、ネジインサートで補強する圧縮空気が一般的。冷却剤はあまり必要ない
ポリエチレン (PE)軟質、滑りやすいタップに樹脂が絡みやすいため、適度な冷却と進行速度の管理が必要圧縮空気または軽い冷却剤が推奨
PVC (ポリ塩化ビニル)熱で溶けやすい過熱を避けるため、切りくずをこまめに除去し、冷却を確実に行う圧縮空気での冷却が一般的、冷却剤も使用可
ウレタン樹脂柔軟、変形しやすい低速でタップを進行させ、過剰な力を避ける。インサートでネジ山を補強する圧縮空気を使用し、冷却剤は不要な場合が多い

滝本技研工業では材料選定のアドバイスも行っております！お気軽にご連絡ください！

お問い合わせ

お問い合わせはこちらから！

TEL：052-613-9565
FAX：052-613-8747
FAX お見積もり用紙はこちら
Download
お問い合わせフォーム
info@takimoto.jp

現場のストレスゼロ！失敗しないタップ加工の手法

タップ加工で失敗しないためには事前の準備や加工中の適切な手法が必要です。ここでは、加工前の準備から、現場でよく発生するトラブル回避のためのポイントを詳しく解説します。

事前の準備が成功を決める！

タップ加工の成功は、事前準備が大きく影響する…！ということで、まずは使用する樹脂の種類に適したタップの選定が重要です！特に新しい樹脂素材を使用する場合は、試験加工を行い、加工条件の調整を行うこも大切！

トラブル回避のためのチェックリスト

タップ加工中にトラブルが発生する原因は多岐にわたりますが、以下のポイントを事前にチェックすることで、現場でのストレスを軽減できます！

主なチェックリスト

  • タップの刃先が摩耗していないか確認
  • 適切な冷却を行っているか
  • 樹脂の種類に合った加工速度を設定しているか
  • 加工中に発生する切り屑がタップに絡まっていないか

    これらのチェックを事前に行うことで、トラブルを未然に防ぎ、高品質なネジ穴を確保できる！

    まとめ

    樹脂加工におけるタップ加工は、金属とは異なる樹脂の特性を理解し、それに適した手法を用いることが成功のポイントとなる！

    適切なタップ工具と工程管理を行うことで、スムーズにタップが入り、繰り返し使用しても抜けないネジ穴を作成することが可能です。さらに、樹脂の種類に応じた対策や、タップ加工後の仕上げ工程を丁寧に行うことで、ネジ穴の耐久性を向上させ、現場でのトラブルを最小限に抑えることができます！

    事前準備と加工中のチェックリストを徹底することで、現場のストレスをゼロにし、高品質な仕上がりを実現しましょう！

    前の記事
    プラスチック・樹脂加工素材の名称が異なる理由とは？用途に応じた選定のポイント！
    2025年2月8日
    次の記事
    【1個からOK!】短納期対応！ミスミ製品の追加工事例をご紹介！
    2025年3月21日